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丹野まさよしとがんばり隊

丹野まさよしとがんばり隊

岡崎市図書館交流プラザ視察報告



経済教育委員会 行政視察報告
日時:平成22年5月18日
訪問市:愛知県岡崎市
岡崎市図書館交流プラザ

1.岡崎市の概要
市制施行:1916年7月1日
人  口:373,142人(平成22年4月1日現在)
面  積:387.24キロ平米
一般会計:1,192億円(平成22年度予算)
概  要:愛知県の中央部に位置する。市の中心部に徳川家康が生まれた岡崎城があり、桜の名所として有名である。市内には南北に矢作川、東西に乙川が流れ、この豊富な水を利用した大規模工場や水田が数多くある。財政面において全国的に見ても優良な自治体と言える。


2.調査事項 岡崎市図書館交流プラザについて
(考察)
岡崎市の図書館交流プラザ「Libra:りぶら」は、私の中にあったこれまでの図書館や社会教育施設の概念を大きく変えるほど、画期的で先進的な取り組み事例であった。以下、詳細を記す。

岡崎市図書館交流プラザ「「Libra」の事業経過概要をみると、もともと市の中心市街地活性化基本計画策定のなかで、再活性化拠点施設として図書館を中心とした複合交流施設の構想から生まれてきたことが分かる。
その後、中心市街地活性化の具体的施策として、平成5年度に岡崎市に寄贈された、世界有数のジャズコレクションと評価される「内山修ジャズコレクション」の活用策を盛り込んだ「再活性化拠点整備構想」と「岡崎市新図書館基本計画」の策定を経て、平成18年に「(仮称)岡崎市図書館交流プラザ管理運営計画」が策定された。

そして、平成20年11月1日に、中心部の康生地区に岡崎市図書館交流プラザLibraがオープンした。
延べ床面積約18,000平米、地上3階建て、建築費約100億円。岡崎城の城郭の一部であり岡崎城天守閣を望む眺望ライン(ビスタライン)上に当たることから、建設デザインも3階建てにおさえ、歴史的文脈と都市景観に融合した洗練された美しい外観となっている。

美しいデザインもさることながら、多くの市民が気軽に集い、「くつろぎとにぎわい」、「ふれあいと感動」、「楽しさと意外性」という異質なエネルギー同士が出会うことで新しい文化の発信拠点でありたいとする図書館交流プラザ構想のねらいは、見事に達成されているのではないか。当初の入館見込み数100万人を大きく上回る150万人もの入館者実績が、その成果を如実に物語っているからだ。

私は、これまでも先進地事例と言われる図書館を視察してきたが、こんなにワクワクドキドキと楽しくなるような施設は初めてである。
美しい外観はもとより、入り口から中への誘導通路。機能ごとにレイアウトされた部屋やコーナー。見やすい図書の配置とゆったりとした閲覧スペース。「内山修ジャズコレクション」をいつでも試聴することのできる常設展示室と可動式の客席を備えたホール、そして、自由に飲食休憩することのできる交流スペースや広場が、一つの施設のなかで見事に調和し機能している。

図書館にとどまらず、さらに魅力あふれる交流プラザ構想に高めたのは、専門家も交えた市民検討ワークショップによるものだろう。
施設の設計や運営計画の検討の段階から、3カ年にわたって、意欲的に取り組まれたという説明があった。きっと、白熱した議論と建設的な意見の交換が行われたに違いない。それは、オープンした現在でも、ワークショップに参加した市民が中心となって「施設サポーター」として活躍しているとのことからも伺い知ることができる。同時に、いかに市民の思い入れや願いを「かたち」にすることが大切かということを痛感させられる。

私たちの委員会が訪問した時も、多くの市民が訪れていた。どのスペースにも人がおり、居心地のよい空間を楽しんでいるように感じられた。
それを支えるのは、いうまでもなく60万冊の蔵書と700席の閲覧室を誇る中央図書館としての機能だが、さらに市民の生涯学習や社会貢献活動などをサポートする機能を持たせ、また、人々が自由に行き交い交流できる空間を組み合わせたことによって、市民の知的活動拠点としての厚みを増したように思える。

愛称の「Libra:りぶら」は、市民公募によって選ばれたそうだが、図書館を意味する「Library:ライブラリー」と自由を意味する「Liberty:リバティ」を組み合わせた造語だそうだ。図書活動を通じて市民の文化創造を推進していこうとする岡崎市図書館交流プラザに、まったくふさわしい名称ではないか。これからの図書館は、市民の知的好奇心を満足させてくれる交流拠点として役割を果たしていかなければならないと改めて思い知らされた。

今回の視察研修を通じて、素晴らしい先進事例を見ることができたことに感謝するとともに、これからスタートするであろう名取市の新しい図書館構想に、「Libra」のもつ自由な市民視点を万分の一でも生かせるように提言していきたいと考えている。



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